サケの赤ちゃんを育てよう
01/10/06

☆はじめに・・・

 サケの赤ちゃんを育ててみたい人に、タマゴをくれる…というお話が子供の学校からありました。
今年は育ててみようかと子供と相談し、タマゴをもらってくることになりました。
育て方のプリントを良く読んで毎日観察しようと思います。お寿司で食べていたサケのタマゴ(イクラ)から赤ちゃんが生まれるなんて、なんだか信じられない。
 預かった大事な「いのち」、2月までの短い期間だけど、大切に観察しようと思っています。

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育て方1(タマゴの時)
●暖かくないところ
 (暖房してある部屋はだめ。サケはもともと冷たい海に生きる魚です。寒くて死ぬ事はありません。)
●日の当たらないところ(暗い方がいい)
●生まれるまでは、水はかえなくてよい。
●生まれた時に、半分くらい水を替える。
 (これは忘れてはいけない。タマゴが割れると水が汚れます。水道の水は1日ぐらいくんでおいてから
 使いましょう。)
育て方2(グミつきのとき)
●部屋(入れ物)の大きさ→水100mlに1匹くらい。(コップで2匹)
●水は1日おきに半分替える。(次の水をくんでおこう)
●えさはやらない。
 (生まれたての赤ちゃんです。寝てばかりいてほとんど動きません。
  グミのような大きなおなかの中は、お母さんからもらったお弁当です。それがミルク代わりで、口から  えさは食べません。)
育て方3(グミがなくなってから)
●えさをやる。
 ・1、2粒試しにやってみる。
 ・ほんの少しづつ、1日に5〜8回
 ・下に残るようなら多すぎです。
●水は1日おきに半分替える。
●暗いところでなくてもよいが、日なたはだめ。
●水の温度は、15度から18度くらいがよい。
 暖房の部屋は暖かすぎ。寒い外は平気ですが、大きくなりません。
育ててから、2月頃に入間川へ放します。
●川に放されたサケは、海に出ます。北太平洋を3、4年かけてまわり、大人になって、放された川に
 戻ってこようとします。

☆観察日記(2000年12月8日〜2001年2月16日)
  
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12月8日(金)
学校からサケのタマゴを分けてもらってきた。
持参したジャムのビンに、タマゴが4個。さて、無事に生まれて、川に放せるといいな。          
12月10日(日)
タマゴのうちひとつが割れて、中から赤ちゃんが出てきているのに気がついた。動かないけど生きているのかな…と心配になった。良く見ると首のあたりが心臓みたいにバクバク動いているのが見えた。時々、しっぽをゆらゆらさせた。
12月11日(月) 
次々にタマゴを破って生まれてきたサケの赤ちゃん。3匹になった。残りのひとつのタマゴも目が黒く見えているけどちゃんと生まれてくるか、ちょっと心配。
おなかに大きなグミをぶら下げて水の中を泳ぐ姿がとってもかわいらしい。
今日は、昨日より元気に泳いでいる。びんの底にじっとしている事が多いけど、時々上に向かって勢い良く泳いでいるのでビックリ。

タマゴの外皮がぷかぷかしていたので、わりばしでそーっと取ってやり、昨日から汲み置いておいた水道の水を使って、半分くらい水を取り替えた。

12月16日(土)
やっぱり、いつまでも白く濁ったまま、孵らないタマゴは皮から顔を出したまま2昼夜。ふと気がつくと、栄養分であるオレンジ色の油が水に浮いてきた。ひとつくらいはこういうこともあるのかな。残念だけど、3匹は今の所順調に育っている。

夜中にそっと覗いてみると、おなかの袋(グミ)を横にして眠っていた。重いのかな〜。

3匹だけになっちゃった。
12月21日(木)                     
毎朝、サケの赤ちゃんどうなっているかな…とビンを覗き込むのが日課になってきた。
たいてい、おなかを横にしてじーっとしているので、「あっ!死んじゃったの?」とビックリしてビンを手に取り水を揺すぶったりしてしまう。すると、迷惑なのはサケの方で、すっごい勢いで水の中をクルクル泳ぐ。
もっとも最近は、死んだフリにも慣れて来たので、水を揺すらなくてもサケの首筋のあたりを良く見ると、血管がバクバク動いているのが確認されるので安心だ。
前より少し大きいビンに引越しした。
12月23日(土)                                        

●「えら」がはっきり分かるようになって、えら呼吸しているのがよくわかる。
●目玉もすっかりお魚の目になってきた。
●体長が約2cmくらいになった。
ほとんど透明に近かった体の色がグレーっぽくなって、一本黒い筋が通ったような色合いになってきた。
●相変わらず、底の所で横たわっていることが多いが、音にビックリするとすごい勢いで泳ぎ出す。水面まで一気に浮上する。よしよし、元気いっぱい。 

1月3日(水)                 

●年末31日から2泊3日でスキーに出かけている間サケの赤ちゃん達は家でお留守番。
エサはまだ要らないとはいうものの、元気でいるか少し心配だった。
帰ってから真っ先にサケの赤ちゃんのところへ飛んで行った。
●お腹のグミがだいぶ腹部に吸収されて、小さくなってきたみたい。少しスマートになったかな。               

1月15日(月)                  
●グミがほとんど無くなったところで、学校も3学期が始まり、サケの赤ちゃんのえさをもらってきた。
パラパラとあげてもそれほどエサを食べに寄ってこない。
まだグミの栄養分が残っているのかな。
●朝、そーっと近づくと相変わらずサケの赤ちゃんはビンの底で横たわって眠っている。まるで元気をなくしたかのように。でも、元気に音を立てながら近づくとそれはそれはすごい勢いでビンの中を跳ね廻る。
ビンに当たってカキーンと音を鳴らし、水面まで急浮上し跳ね泳ぐのでビンから飛び出しはしないかと心配になる。身体痛くないのかなぁ〜。
1月24日(水)
グミがすっかりなくなり精悍そのもののサケたち。
体長にして2.5〜3cmというところだろうか。綺麗な銀色をしている。
エサを入れるようになってから、水の汚れが目立つようになり、1日おきの水の取り替えは必須だ。
●1月ももう末になり、2月のサケとのお別れも近づいているということだ。
でも、こんな小さなビンの中に閉じ込められているのが可哀想に思えてきた、今日この頃である。
やはり大きな川を思いきり泳いで、一回りも二回りも大きく、たくましくなって川をさかのぼって帰ってきてほしいものだ。
2月6日(火) 悲しい出来事…
今朝、いつものように水を半分取替て、エサを少し与えた時は、ピンピン跳ね泳いでいたサケくん達だった。なにも変わったことはなかった。
それなのに!夜何気なくサケくんを覗いて見ると、なんと3匹のうち2匹が身体を少しくねらせて、ビンの底に沈んでいる!口もパクパクしていないし、ピクリとも動かない!

何故?何故?何がいけなかったんだろう。あまりの急変にビックリし、悲しくなった。
水はちゃんと汲み置いたものを使ったし、エサも多すぎなかったはず…。いつもと同じように、家の中で1番涼しい場所に置いておいたのに…。
 
せっかくここまで大きくなって、川に放す日も近づいていたのに…と悔やまれるけど、残った1匹は、変わりなく元気に泳いでいる。頼むよ、キミだけでも、あとの2匹の分も生き延びておくれよ。
そうココロでつぶやきながら、水を取り替えた。

2月8日(木) 
一匹だけ残ったサケくんに、HP仲間からたくさんのエールをもらって嬉しいことこの上ない。
その中で、あかとんぼさんからヒントを頂き、このサケくんに「げんさん」と命名することにした。3匹いた時も名前をつけようか・・・と子供たちと話題に出たのだが、何しろ見分けのつかない3匹なので却下されたのだった。
●みんなの期待を一身に集めて、サケのげんさん、今日も元気に泳いでいます。
「ふれー、ふれー、げんさん!」頑張れよ〜!

2月16日(金) お別れは突然に。 
●昨日学校から帰るなり、「明日げんさんを連れて行かなきゃ行けないんだって!」とコドモ達。
「えー!なんでまた急な話だねぇー」
どうやら今度の日曜日に入間川へ放流することに決まったらしい。代表して先生が流しに行くようだ。本当は川に流すところまで見届けたかったけど、そうもいかないのかな。
●朝、最後の水の取り替えをしてやり、学校へ送り出した。
●学校から帰ってきたコドモ達に聞くと、うちのげんさんは、学校で育てたサケよりも身体が大きく、色もちょっと茶っぽかったそうだ。先生に渡す時に「おおー、ずいぶん大きいな」と驚かれたそうだ。
涼しくて、あまり日の当たらないところで育てた方が、ストレスがかからなくて大きくなるのだそうだ。
うちのげんさんは北側の、我が家で1番寒い場所がげんさんのおきまりの居場所になっていたのが、かえって良かったようだ。
今日集められたサケは、ひとつの水槽に一緒にしたらしいが、うちのコドモ達に言わせると、良く見るとどれがげんさんだかわかるのだという。(本当かなぁ)
親の欲目みたいなもの?
たった2ヶ月ちょっとでもこれだけ情がわくものなのだな…。

       小さくても「いのち」。「いのち」の重さは同じ。みんなおんなじだけ大切。

              げんさん、ありがとう。 またきっと川に戻って来てね。                                 

《おしまい》
■最後まで一緒に成長を見守り、記録を読んでくださった皆様ありがとうございました。■

 


music by Sora Aonami