山歩き日誌
♪白馬大雪渓〜白馬岳(2932m)〜栂池自然園
2000/8/14〜16(山小屋2泊)
《行 程》
第1日目 白馬駅…猿倉…白馬尻小屋(宿泊)
*歩行距離 約2km *歩行時間 1時間10分
第2日目 白馬尻小屋…(白馬大雪渓)…葱平…(小雪渓)お花畑…白馬頂上宿舎…白馬山荘…白馬岳…
…白馬山荘(宿泊)
*歩行距離 約5km *歩行時間 4時間55分
第3日目 白馬山荘…三国境…小蓮華山…白馬大池…白馬乗鞍岳…天狗原…栂池自然園…白馬駅
*歩行距離 約10km *歩行時間 5時間
前日までの、迷走台風による
はっきりしない天気に見切りをつけて、
8月14日早朝4時に自宅を出発。
午前9時すぎには、豊科I.Cを降り、
信濃大町ヘ着いていた。
ヤッホー!
白馬駅近くの駐車場に車を預けて、
午後12:05発の猿倉行きのバスに乗る。
30分ほど揺られて、村営猿倉荘前に到着。
いよいよ、白馬岳へ向かうんだと思うとドキドキした。
猿倉荘で登山届けを出した。
「△△代男性 ××で滑落 重症」…
などと何件かの遭難の速報が掲げられていた。
…なんだか緊張してきた。
なにしろ、2年生と5年生のコドモ達を連れての登山なので
余裕を持った山行を計画したつもり。
今日は大雪渓の手前にある、白馬尻小屋までだ。
さあ、がんばろう。
と、隊長(夫です)の登山靴に異状発生!
16年ぶりに引っ張り出した、革の登山靴のビブラム底が剥がれてきた!
近郊の低山しか歩かなかったので、出番を失っていた革の登山靴は
押入の奥深くで、手入れもされずに眠っていたのでした。
白馬尻小屋のお兄さんに、ワイヤーをビブラムの溝に埋め込むようにして甲の部分に巻き付けてもらい
何とか応急処置を施してもらった。
あの時のお兄さん、お世話になりました。
おかげ様で下山するまで、持ちこたえる事ができました。
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翌日、夜明けと共に出発。
白馬尻小屋から10分ほど歩くと、そこは白馬大雪渓。
軽アイゼンをつけて、雪渓にそっと足を踏み入れてみた。
偉大なアイゼンのおかげで、思ったより歩きやすい。
前の晩、雪渓から足を滑らせて、奈落の底まで落ちてゆく夢をみた私は、なんて小心者。
途中、2号雪渓から落石がコロコロ転がって行くのを見た。
「ラーク!」私達は大きな声で、後ろにつながる登山者の行列に向かって叫んだ。
『常に落石に気を配る事…』とガイドに書いてあったことは本当だ。
おそるべし、落石。
ようやく、葱平にたどり着いた。
取り付きにつけられた木段を登り、足場の良いところを選んで朝食のお弁当だ。
緊張が解けて、ホッとしたコドモ達は食欲旺盛。
私は、緊張が解けたはずなのに、半分しか食べられなかった。
やっぱり小心者だ。
30分も休憩したせいか、岩場を登ろうとする足がだるい。
ここで、用意はしていても、使うまいと思っていたストックを使ってみた。
足の負担が半減した。なんだか、手放せなくなりそうな予感。
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たくさんの高山植物になぐさめられながら、急な登山道を登った。
今年は雪が多かったせいか、小雪渓にもたっぷり雪が残っている。
安全のため、再びアイゼンを付けて慎重に歩いた。
高山植物に気を紛らわせながら歩いていたら、村営頂上宿舎が見えてきた。
もうひとがんばりだ。
コドモ達は、小さな身体のどこに体力を温存していたのだろう。
登り始めの不安気な歩きとは、別人のような軽い足取り。
「おかあさんは、ゆっくりでいいからね。」
すっかり、コドモに負けている。
村営頂上宿舎前でひと休みし、私は食べ残したお弁当を平らげた。
今度こそ、本当に緊張が解けたようだ。
この後は、夢にまで見た稜線歩きが待っている。
足取りも軽く、白馬岳の頂上を目指した。
日本最大の山岳宿舎「白馬山荘」の向こうには、白馬岳の頂きがもう間近に見えている。
後ろを振り返れば、杓子岳の岩稜がとがっている。
この日泊めてもらう白馬山荘に荷物を置いてから、15分ほど歩き、山頂に立った。
やったー。
つらい山道を乗り越えて来た満足感にひたった。
白馬岳山頂は、黒部側は穏やかだが、信州側は足元から切れ落ちた急崖となっている。
ぎりぎりの際まで行って信州側の深い谷を見ている人がいるけど、
その足元の岩が崩れ落ちそうで、見ているだけで怖い。
ストーブで焼肉を焼いて食べている人達がいた。
山頂で食べる焼肉は、格別美味しいんだろうな。
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次の朝は、ご来光を見ようと,朝4:30に出発。
5時を少し過ぎた頃、雲海の向こうから黄金色に輝く太陽が昇ってきた。
新しい、今日のはじまり。
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早朝の山頂はさすがに寒いので、感慨に耽っている間もなく歩き出した。
三国境の分岐を過ぎ、小蓮華山へ向かった。
小蓮華山まで待ちきれずに、おなかを空かせたコドモたちだったので
途中のピークで朝食のお弁当。
ハチが飛んできてビクついたコドモは、あやうくお弁当全部をひっくり返すところだったけど
マメを落としただけで済んだ。
「あー、好きなシューマイとウィンナーは落とさなくて良かったぁ〜!」
小蓮華山山頂には、鉄の剣が空に向かってすっくと立っている。
ここは、雷がよく落ちるところだそうですが、鉄の剣が避雷針の役目を果たしているのでしょうか。
快適な稜線歩きを楽しみながら、緩やかに下って行くと、正面に白馬大池が見えてきた。
夏休みなので、うちのコドモ達と同じような年頃の子供を連れた家族にずいぶんすれ違った。
前に赤ちゃん、背に結構な大きさのザックを背負っているお父さんもいた。
「あれは、若いからできるんだよなァ〜」とちょっとオヤジさんが入った隊長だった。
白馬大池は静かなところで、花もまた色とりどりに咲いていた。
白馬大池は、北アルプス中で2番目に大きな火口湖で
他からの流れ込みはなく、すべて雪解け水が集まったものだそうです。
天狗原まで、大きな岩を積み重ねたような岩場の道でとっても歩きにくかった。
下のコドモの歩幅には到底合わず、ここで泣きが入った。
が、不機嫌になりながらも頑張った。エライ、エライ。
天狗原の木道周辺で、ワタスゲがきれいな白い果穂をつけているのが見られた。
木道が終わって樹林帯の中を下って行く。
蒸し暑くなってきた。
栂池自然園に着いてから食べたソフトクリームの美味しかったこと。
このあたりは、観光客でいっぱいで、ザックをしょっている人は数えるほどだった。
山を見上げながらソフトクリームを食べている私たちは、
きっと、さぞ誇らしげな顔をしていたことだろう。
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